Q-info 第96号 2015年12月発行
        【一丁噛】

いっちょかみ“一丁噛”が行く! 第91回:軽減税率

 消費税の軽減税率問題が新聞紙面を賑わしていますね。公明党の主張に自民党が
寄り切られた格好で、しぶしぶ応じているといったところですが、その是非はともかくとして
消費税問題を考えるときに、なんでこんなひどい制度(日本の消費税の制度)を
作ったのかって思います。

もともと中曽根内閣で提案されたインボイス方式での売上税案が国民的反対にあって廃案と
なったのをうけて、何とか国民の理解を得よう
(中小企業の事務負担増への反発を和らげよう)と竹下内閣では事務処理が簡単な
“帳簿方式”消費税を提案し、それが成立して現在の消費税となりました。

 帳簿方式(現在では請求書等保存方式と言われている)とは日本独特の方式で、
欧米各国で採用されている“インボイス方式”とは異なります。
“インボイス方式”とは、取引の都度、消費税額を計算してその税額を
記載した税額票(これをインボイスという)を発行し、お互いにやりとりした税額を
正確に捉えようというやり方です。それに対して“帳簿方式”というのはその都度の
税額は計算せずに、請求時に消費税額を計算するというやり方です。

つまり、取引都度の面倒な計算はしなくても請求時に一括計算すれば楽だろうということです。
ところが、そこに大きな落とし穴があります。

 例えば、1つ10円のものを買ったとします。消費税は0.8円ですから掛かりません。
それをひと月に10回買ったとします。合計額は100円で消費税はゼロです。
しかし、ツケで買って請求書をもらうと108円になっています。同じものを買って税金が
違うっておかしくないですか。

 さらに、前月21日~当月20日までの20日締めで計算した消費税額と、当月1日~末日までで
計算した月次売上の消費税額において、端数処理の関係で1円の誤差が出てきたりします。
これがコンピュータ処理をする場合、1円合わない現象となってやっかいなことになります。

また、簡易課税制度というのがあって、小規模事業者の消費税計算の手間を省くために売上に
対して一定の仕入率であったとみなして消費税を計算する方法で、本来納めなければならない
税金が事業者の手元に残ってしまう益税の問題や下請け企業などにおいて消費税がちゃんと
転嫁できない損税などもあります。

 いずれにしても、事業者の事務負担軽減を名目に、税負担の公平性を欠く世界的にも例のない
制度となっているのです。

 品物によって税率が異なる軽減税率の導入にあたっては、インボイス方式で処理しなければ
ならないのは当然のことですが、消費税のいくつかの問題点に目をつぶりながら更に
軽減税率実施時においても、なにやら見なし税率で計算させる方式の導入を検討していると
いうことを聞くと、増税の可否や軽減税率の可否などの前に、抜本的に考えなければならない
ことがあると思うのは私だけでしょうか。