Q-info 第82号 2014年10月発行 読者訪問

第57回 読者訪問

お伺いした会社 株式会社RINSAN
お話を伺った方 代表取締役 殿谷 幸司 様
事業内容    建材業(建築資材販売、外装施工、新築、リフォーム)
会社の所在地  〒620-0042 京都府福知山市北本町28番地
連絡先など   TEL:0773-22-2541   FAX:0773-23-2226
e-mail     tonoya@rinsans.co.jp

 今回は、福知山のRINSAN様(旧社名:福知山林産商会)をお尋ねしました。今年8月に発生した福知山市の
大水害で多大な被害を受けられたと聞いておりましたので、一段落された頃を見計らってお見舞い方々訪問
しました。今回の水害では殿谷社長が経営しておられる他の2社もあわせて4,000万円ほどの被害を受けられ
たとか。それをお聞きして驚くと共に適切なねぎらいの言葉もなかったのですが殿谷社長はいたって元気で、
水害の話よりは近年の事業拡大のお話を熱く語って下さいました。
殿谷社長様
 前回、殿谷社長とお会いしたのは5年ほど前。そのときは6名ほどの社員さんで
RINSANという会社をやっておられましたが、その後、建築業に進出され、今や株式会社谷英建築、
株式会社タニヒデという別会社を二つ、全社員23名を擁する事業規模に拡大されていました。

 もともと殿谷社長は木材製材業の3代目としてスタートされ、建築資材を扱う建材業として1~2億円規模で
推移してこられました。
販売先の大半が工務店であり、弱小工務店からは支払が滞ったり分割払いを要請されたりで、これではいつまで経っても
自社の業態がよくならないと判断。地元工務店からは反発をかうのを覚悟で建設業に進出。福知山市外を中心に
住宅建設などを担う会社を2社立ち上げられました。現在年商は全社で13億程度の規模になったということで
急成長されておられます。

水害被害を受けた倉庫

 株式会社RINSANさんで経営革新の承認をとられてから、殿谷社長の経験談を聞きたいという依頼が全国から
多く寄せられ、各地を回って中小企業者の方のお話を聞く機会をたくさん得られました。
そんな中で、今までの自分が井の中のかわずであったことに気付き、もっと社員を信じて社員を育ててみんなが喜べる会社に
したいと決意。小さい会社だからこそできることをやろう、そのためにはスピードが第一と、全社員が朝の5時に出社し、
9時までに見積などの社内業務をすべて片付けて9時には全員が外出するという行動パターンを確立されました。
お客様から何かリクエストがあれば、明日持って行きますとか、メーカーに聞いて明後日返事しますとかいうようなことは
せず、即訪問してお客のリクエストに応える。スピードが命とおっしゃっておられます。
スピード対応するためには社内業務は電話がかからない早朝にすべて効率よく片付けてしまい、9時から戦闘開始で
全員が走り回る。そして、夜は全員が6時には退社して翌日に備える。大手ハウスメーカーに打ち勝つためには、
優秀な社員とスピードが命だ。他社と同じことをやっていたらアカン、うちだからできることを徹底してやる。
そのためには社員に徹底して問いかけ、社員自らがやりたいという風土を形成。

やらされている、やらないかん、と思っているうちはダメ。一人一人が自分事としてやりたい気持ちに
なることが必要。社員を信頼して社員に育ててもらって今があるとおっしゃいます。社員が悪い会社は
ダメ、つぶれた会社も一杯みて来た。だから社員を育てて社員と一丸になってこそ今の業績が作れているとおっしゃっています。

 そもそも、会社が、いや社長が変貌されのは5~6年前のある事件がきっかけだったとか。
客先から65万円を集金してきた社員から一本の電話が入りました。「集金してきたお金を落としてしまった!」と。
会社に帰ってきてしょんぼりしている社員に殿谷社長はポケットマネーから黙って65万円の現金を渡し、
「落としたと思ったけど出てきたとみんなに言っておけ」と。疑いもせず責めもせず、黙って出してくれた社長の姿に
その社員さんは大感激し、その後、社業に邁進してメキメキと頭角を現します。そして「ボクは死んだら社長と一緒のお墓に
入りたい」「子供ができたらRINSANで働かせたい」と公言するようになりました。それを見ていた社長、
今まで何度も社員に裏切られたこともあったけど、ひたすら信じてきたことが社員を成長させることにつながった。
社員のお陰で自分が変わることができた。社長が変わったら社員も変わってきた。
そして、会社も変わったという好循環を実践されました。

 社員の成長は会社発展の原動力と、身内中心で同族経営をしていた時には考えられなかった経理公開を
はじめ、決算賞与支給や能力成果主義を導入し、全員総力で社業に邁進しておられます。

 今回の水害被害、5~6年前なら社員をクビにして事業縮小し、場合によっては事業を辞めてたかも知れないとおっしゃいます。
しかし今は、借入もせず行政からの大きな支援も受けず、すべて自社資金で賄うがことができる。
これも社員のお陰だとおっしゃいます。

外壁の施工中

 お話をお聞きしている間、何十回と、社員が…、社員のお陰で…、という言葉が出てきました。
帰りがけ、「社長いつまでも古いクルマに乗ってないで!」といって、社員がお金を出し合って買ってくれたというアウディ
を嬉しそうな顔をして見せてもらって帰路につきました。

 すばらしいお話をお聞きすることができた感激と、自らを叱咤激励する興奮を抱きながら、そしてまた数年後、是非お話を聞
きに伺いたいと思いながら、夜のとばりが降りた京都縦貫道を走っていました