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Q-info 第122号 2018年2月発行 【読者訪問】

カテゴリー[コラム/Qinfo, 読者訪問]

読者訪問 第97回

お伺いした会社  株式会社カスタネット
お話を伺った方  代表取締役 植木 力 さん
会社の所在地   〒601-8037京都市南区東九条西河辺町33
連絡先など    TEL 075-681-9100 FAX 075-693-4625
事業内容     オフィス家具、文具、消耗品、防災用品等の販売
URL      http://www.castanet.co.jp

植木社長

 今回は社会貢献型企業として知る人ぞ知るカスタネットさんにお邪魔し植木社長にお話を伺いました。

 植木社長は2001年2月、大日本スクリーン製造㈱(現㈱SCREENホールディングス)の社内ベンチャー第1号として創業されました。
 実は植木社長に続く第2号はなかったそうで、ご自身も第2号だったらやらなかったとおっしゃっていました。そしてまた、社内ベンチャーとはいうものの、いわゆる退職型だったので、会社を退職して文字通りあとがない状態の中での創業でした。

 創業当時はアスクルなどが世の中に出てきて、事務機文具業界に大変厳しい風が吹きかけていた頃です。そんな時になぜ文具業界を選んだのかとお聞きしたら、大日本スクリーンを頂点に取引先などを含めて大きなピラミッドがあるので、どこでも使う文具なら事業になると思ったと。
ところがそんな考えが甘かったことがすぐに露呈し、初年度、次年度と続いて毎年3,000万円に及ぶ赤字を計上。気がつけば6,000万円もの赤字を抱えた会社になっていました。スクリーンの社内ベンチャーといえども資本支援だけで資金繰りは自分でやらなければならず、大変苦しい日々が続いたと回顧されていました。

震災経験などから生まれたマルチポンチョ。熊本地震では大活躍しました。

 創業して間もない頃にある異業種交流会で出会った人から「カンボジアで学校を作ったけれども文房具がない」と聞き、「それじゃ私が贈りましょう」と約束をしたことを2年目からなんとか実現しようとしたところ、創業まもない赤字企業がボランティアとか社会貢献とかをやるということが話題になりマスコミにも大きく取り上げられました。

『使っていない文房具をカンボジアに贈りたいので送って下さい』ということではじめたボランティア活動が話題になり、「同じ買うなら少々高くても社会貢献のお手伝いができるところから買いたい」とカスタネットファンが増えてきました。

 そして3年目から黒字転換。ネット通販が盛んな文房具業界にあって、社会貢献というキーワードで業績を伸ばしてこられた同社は、文房具のみならずクッキーや防災グッズの販売に取り組まれます。特に防災グッズは東日本大震災後、年月が経つに従って薄れていく防災意識を喚起する意味でも力を入れておられる商品の一つです。代表的なものとしてマルチポンチョがあります。東北大学の堀切川先生との出会いから生まれたオリジナルなこの商品は、屋外でのトイレや着替えの目隠しとして重宝されています。まさに災害の経験から生まれたグッズと言えます。

広島に送られた折り鶴を配合した紙で作ったA4サイズの防災用品グッズ収納箱。

 また最近発売をはじめた“持ってけBOX”は非常用持ち出し箱としてA4サイズでオフィスの事務机に収納できます。広島の平和記念公園に贈られる折り鶴は年間10tにもなるそうですが、その折り鶴を福祉施設で糸や金銀紙を外し再生紙として加工して使っています。BOXに付属している掛け紐のひも通しも京都の授産施設でやってもらっているそうです。
 創業期からはじめている障がい者スポーツ(全国車いす駅伝競走大会、障害者シンクロナイズドスイミング・フェスティバル)への協賛は年を追う毎にその額も増えてきており、他の障がい者スポーツへの協賛も積極的に行ってきておられます。
 また、カンボジアに文房具を送る送料の足しにするためにはじめたトナーの回収が、いまやトナーカートリッジの売上の1%をカンボジアの子供達の支援に使うという形となって続いています。

 実はシスポートでもプリンターのトナーを同社から購入しており、同社の足元にも及びませんが少しだけでも社会貢献しているという気持ちになっています。
“企業の営利活動と社会貢献活動は車の両輪のようなものである”という信念のもと、CSR(企業の社会的責任)の推進と企業の発展を目指しておられる同社をこれからも応援していきたいと思います。

(米田)